会長挨拶

新潟市産婦人科医会 会長 山本 泰明
新潟市産婦人科医会
会長 山本 泰明

岸田総理が「異次元の少子化対策」を打ち出しました。少子化傾向を緩和し、安心してお子様を産んで育てられる社会になることは、日本という国の根幹を支えることに繋がります。

産婦人科と一言で呼びますが、大きく分けて産科と婦人科の二つの分野で機能を果たしています。
産科にとっての最優先は、「安心して、安全に出産していただくこと」です。産科医は、妊娠前から妊娠・出産に関する適切な知識や情報を伝え、妊娠中は妊婦健診で母児の健康管理を、分娩では小児科医と協力して安全な出産を目指し、分娩後は育児に関するメンタルヘルスケアを行っています。また、お子様が欲しいのになかなか妊娠できないケースでは、不妊診療専門医が治療にあたります。
婦人科では「人生100年時代」に備えて、思春期から成熟期、更年期、老年期まで女性のライフステージに沿ったヘルスケアを行っています。

女性は女性ホルモンの状態により体調に大きな影響を受けます。初めての月経はいつ始まるのか。思春期から成熟期では月経トラブルも発生しがちです。大事なイベントのタイミングでの月経は、心配事を増やす要因ともなりますが、QOLに大きく影響を与える月経も、産婦人科への受診によりスケジュールに合わせての移動が可能です。また、望まない妊娠を防ぐための避妊も是非ご相談ください。そして更年期、老年期においても、健康寿命延伸のための予防医学が欠かせません。
子宮筋腫、子宮内膜症、女性特有の子宮がん・卵巣がん・乳がんの早期発見・早期治療は重要ですが、とりわけ日本においては、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの接種率が低いことが問題となっています。また近年、若い女性の梅毒感染が急増していることをご存知でしょうか。深刻な性感染症の早期発見・治療とともに、全体の傾向に早めに気付き、社会に警鐘していく役割も、産婦人科が担っていると考えます。

新潟市産婦人科医会は、女性の一生に寄り添っていく産婦人科医師の集まりです。新潟市民のみなさま、普段から相談できる「かかりつけ医」はいますか?産婦人科医は女性のライフステージに沿った支援を通して、次世代に健康を引き継ぐためのお手伝いをします。受診に心理的ハードルの高いケースも多いことと思いますが、気になることがあったら早めに受診して、お気軽にご相談ください。